雨とい関係
2024年12月18日

実は手の込んだ技法を使ったんですよ。 古い木造住宅 雨樋の交換

工務店様より古い大きな木造住宅の雨樋の交換を頼まれました。

雨樋自体は塩ビ製ですので新しい物に取り換えることは簡単な事です。

でも雨樋を支持している金物(受金物と言います)も多くの場合、昔は釘で留めていましたので それがサビて受金物を保持できなくなっていることが多いです。

また木造造りの屋根では経年で木がそり、雨樋に付けられた水を流すための傾斜(勾配)が狂っているケースも多くあります。

ですので基本的には雨樋交換時には受金物も交換するのが一般的です。

今回もそうなんですが古い木造住宅で瓦葺屋根の場合、当時としてはお金の掛かったと思われる屋根の形状に「てり屋根、そり屋根」と呼ばれる屋根形状があります。

屋根の四隅が上から糸で釣った様に持ち上がった神社仏閣などに見られる屋根形状ですが、一般の家でも当時の凝った住宅ではこの「てり屋根、そり屋根」形状の屋根を持った物があります。

この四隅が跳ね上がった形状の屋根に雨樋を付ける場合大きく分けて3つの方法があります。

①屋根の形状に合わて軒樋を取付ける。

②屋根形状は無視して直線的に軒樋を取付ける。

③てり、そりの部分は省いて真っ直ぐなところだけ軒樋を取付ける、です。

①と③は神社仏閣などでは時々用いられる特殊な工法ですのでいろいろな意味で高価かつ 材料や形状に制約があります。

もちろん今回は比較的費用の掛からない(一般的な住宅用工法と大差ない)②の方法で行う事にしました。

とはいえ四隅が吊り上がっているところに既製品の受金物をそのまま取付けられるわけではなく、多少なりにでも手を加えた受金物を作る必要があります。

 

具体的には受金物を特殊な金床の上でカンカンと叩いて任意の角度に曲げる必要があります。

私は時々現場でこの技法を使いますが自分で言うのもなんですが「まれ」な人だと思いますし(笑)多くの人は出来上がった物を見ても そういう手の込んだ技法を使った職人の作業だとは思わないでしょうがね。

過去にはこんな記事もあります。↓

「雨樋の生産終了品の部材を作りました」

「こういう方法もあります」

 

 

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