本職がお伝えするお話
2024年06月18日

カーポートやベランダにまつわる雨漏りや雨樋のお話

雨が多い季節に気になるものに「雨漏り」が有ります。

建物の中(室内)に漏ってくる場合はすぐ対処したいと思いますよね。でもそこまで重要ではないんだけど やっぱり気になる部分の雨漏りとしてカーポートやベランダ、テラス、サービスヤード等の 「エクステリア」と呼ばれる部分の雨水排水の不具合が有ります。

「エクステリア」とは大ざっぱに言うと建物外部に付帯した装飾性のある便利空間部分で、ほんどの商品はアルミ製の既成品で構成されています。

今回はこのエクステリアにまつわる今までの不具合事例から具体的な対応方法をお話したいと思います。

具体的にどんな不具合があるのか

今まで多くのエクステリアにまつわる雨水排水の不具合についてのご相談をお受けしましたが 大きく分けて3つのケースが有ります。

① エクステリアの屋根に付いている雨樋の一部分が経年等で劣化して千切れるなどの欠落状態になって雨が落ちる。

② どういう訳か雨水が流れて欲しい方向の反対側からポタポタ漏れる。

③ 容量不足なのか強い雨の時などに溢れる。

これらが今まで多く寄せられたご依頼の内容ですがどんなケースでも対処法は一つではありません。

ご予算、漏れている量、また作業をするうえで立地状況などによっても対処方法は変わってきます。

雨樋の一部が欠落して雨が落ちているケース

古いエクステリアの商品で最も多いのがこのケースです。呼樋に相当する部分が特殊な部材や角度設定など手間をかけることなく、誰でもどんな方向や角度でも対応できる様にフレキシブルなジャバラ形状になっていますが 残念ながら材質の問題で経年によりこのジャバラに穴が開いたり千切れたりして欠損してしまいます。

ホームセンターでも似たような商品を販売してることも有るようですが エクステリア本体との接続が簡単ではない場合も有り、劣化で千切れる心配のないキチンとした雨樋の取付をお勧めしています。もちろんそのまますんなり取付出来る商品は有りませんので 小さな塩ビ製の既製品のマスを現状に合わせて改造して取付けます。

また最近のエクステリア商品では劣化しやすいこのジャバラ部材ではなく、キチンとした雨樋部材が採用されていることが多いようです。

流したい方向の反対側から雨が落ちるケース

私はエクステリアの専門業者ではありませんが今まで見てきた中で 必ず基本となる部分が有ります。それはエクステリアの商品は水平を基本として取付けられている、という事です。ベランダやテラスの床が傾いていたら非常に気持ちの悪い乗り心地になりますので当然のことです。しかし これが雨を流すという観点から考えたらとても大きな意味を持ってきます。

私は雨樋を取付ける時、商品により多少の量の違いはありますが 必ず「勾配(こうばい)」を付けます。水は高い所から低い所へ向かって流れますので傾きを持たせることで 雨水を流す方向を決めています。

エクステリアの屋根に付いている雨を受ける部分は基本的に水平になっていて水を流す方向は決められていない構造になっています。仮に右側の柱に沿って雨水を流す場合はあらかじめ設定された右側用の排水穴を利用して呼樋をつなぎます。ですが勾配を設定していませんのである程度溜まった水が右側から流れている、という事です。元々、建物に付いている雨樋とは対応する雨量が違います(ベランダの屋根の面積はわずかなものです)のでそれでも十分対応できる計算ではあるのでしょうが、長年溜まった泥や経年でわずかに屋根の水平が狂った場合に意図しない逆方向からの漏れが発生するようです。

この場合も一番簡単で確実な方法は漏れる側(漏れる部分)に排水用の穴を開け、新たに竪樋を取付けることをお勧めします。

また稀ではありますが ベランダで屋根ではなく床面に降った雨を床下に設けた雨受け部分に溜めて 地面まで導く構造のものが有ります。この場合も基本的に水平構造ですので 水平が狂ったり、ゴミや土埃などが溜まり流れが悪くなると有らぬところから漏水するケースも有ります。この場合は床面という構造上、少し広範囲からの漏りになる場合が多く、その為 板金で床面の形状に合わせた少し大きなマスを作り漏水を受けて排水します。

強雨時などにあふれるケース

先程も述べましたがエクステリアのベランダなどに降る雨の量は 建物の屋根に比べると僅かなものです。また万一あふれたとしても建物内(室内)では無いのでそれほど気にする方は少ない様に思います。あくまでエクステリアの雨受け部分は屋根等を支持するための構成部材として作られていますので、雨受けとしての機能はおまけ程度に考えていた方が良いと思います。しかし大きなカーポートやサービスヤードなどで下に車や物品が置いてある場合、大きくあふれる雨水は困ったものになります。特に最近では集中豪雨が発生する確率もかなり高くなっています。サービスヤードと呼ばれる建物の勝手口など裏面に横に長い屋根を付けた場合など、水平に設置することが前提のエクステリアの屋根の雨受け部分では無理がある場合も有ります。

この場合はあふれる水の量を考え、一般的な雨樋(軒樋)を取付けるケースが多くあります。取付はあふれた雨水を受ける位置に取付ける為、取付け方法には工夫が必要で場合によってはアルミ等で補助用の部材を作る場合も有ります。但しこの工法ではどうしても下部に取付ける為に見た目があまり良くないという問題が起きやすいので 気にならない場所かという事を留意する必要が有ります。その為、多少費用はかさみますが大きなカーポートなどでは板金材でデザインも違和感のないものを作り取付けることも有ります。

その他

もう一つ泥などの蓄積物が原因であふれたり意図しない所から漏れ出たりすることが有ります。簡単に掃除が出来る形状の物も有りますが 多くは屋根材を外さないと掃除が出来ないような構造になっています。では簡単に屋根材が外せるのかと言えばそうではありません。以前の物は波板と呼ばれる採光用の屋根材の場合は屋根材を止める金具(樹脂製の物が多いです)をすべて外す必要が有りますし、最近多く用いられているポリカーボネイド製のフラットな大きな板状の物の場合は 固定方法が特殊な為、脱着に慣れたエクステリア専門業者でないと対応が難しい場合が有ります。

こんな過去の関連記事も有ります。

「ベランダの下の雨漏り」

「規格外でも作れます」

「ベランダの樋のつまり」

月別アーカイブ