雨漏りの原因事例
2024年03月08日

本職がお伝えする雨漏りがした時のチェックポイント

今まで気が付かなかったけれど最近天井や壁に雨染みが出来ていた、という場合が有ります。

いわゆる「雨漏り」というもので 雨が多くなる季節は特に困りますよね。

雨漏りというと屋根のどこからか入った雨水が天井からポタポタと…、というのを想像されると思いますが 今回は雨漏りが疑われる症状が出た方に、いろいろなチェックポイントをご説明したいと思います。

 

漏れる量

まず確認して頂きたいのが漏れる量です。

もちろん雨量によっても変わりますが 「ポタポタと一滴づつ落ちてくる」場合は屋根ないしどこからかの雨水がまわって漏れている可能性が有ります。多くの場合雨漏りはその原因が漏れている個所の真上とは限りません。天井への雨漏りでしたら天井内にはいろいろな天井構成部材が見えない所で入っています。これを伝って落ちてくる場合は決まったポイントにリズミカルに落ちてきます。

「一粒づつではなくまとまって落ちてくる」場合は雨漏りの原因箇所が雨水の集まる場所の欠陥の可能性が高いという事になります。屋根の形状により「谷(たに)」と呼ばれる部分や「内樋(うちとい)」という部分の有る屋根形状では 屋根に降った雨が集まる場所が有ります。そこの欠陥の場合は集まった分だけ多くの雨水が流れるので雨が降り出してから漏れが現れるまでの時間が短く、漏れる量も多くなります。欠陥ポイントの発見は容易になりますが反面、修理には屋根の部分撤去など大掛かりな工事になる可能性が有ります。

「落ちてはこないが湿っている」場合は前記「ポタポタと…」と同じ原因ですが漏れ出ている量があまり多くない場合が考えられます。また天井内には多くの場合「断熱材」という物が仕込まれています。厚みが10センチ程度、幅が40センチ程度のグラスウールをシートに包んだもので壁などにも入っています。この上にポタポタと少量の雨水が漏水していた場合、このマットのおかげですぐに下に漏れることはないのですが このマットの湿気が伝わり天井が湿気た感じになる場合が有ります。

 

 

漏れてきた時期

新築物件の場合、築後すぐ漏れることはほぼ無いと思います。万一あれば経年劣化は考えられないので単純に「施工時の不備」だと解ります。

築後20年前後であれば屋根材の劣化が原因というには早すぎますのでそのほかの部分、例えば経年による「コーキング(防水用のり)」の切れなどが疑われます。壁材として「サイディング」と呼ばれる樹脂などを混ぜたセメント板をパネル状にして壁に張り並べていく壁の場合ですが この継ぎ手部分などのコーキングが劣化により切れる場合が有ります。またベランダが有る場合、その防水層の劣化も考えられます。

築後30年以上の場合は屋根材の種類によっては劣化も視野に入ってきます。前記の様に雨水が集まりやすい「谷」「内樋」などは金属板で作られることが多く、これが傷んできたことも考えられます。瓦屋根などでしたらズレや割れも発生しやすくなります。

リフォーム後に雨漏れが出るようになったというケースも有ります。特にカラーベスト葺屋根の屋根塗装で塗装後の処理(縁切りと呼ばれる処理)を怠った場合や瓦屋根で面戸(めんど)と呼ばれる部分のしっくい塗で瓦面よりはみ出してしっくいを塗った場合などで 雨水が逆流し 漏りが発生する場合が有ります。増築工事も雨漏れが発生しやすい状況と言えます。既存の壁を切って部屋を増築した場合など 前の壁の下に入っている防水紙の処置がきちんと出来ていなかった理由で雨漏りしたケースも有り、この場合は壁を切って途中をつぎ足すことで上下の位置関係が逆になってしまい 漏れる原因になります。

 

漏れてきた位置

漏れてきた位置によってある程度原因を推測できる場合があります。屋根の形状がポイントになり漏れる場所の多くは棟違いなど屋根形状の複雑に絡んだ部分に多く、何もない屋根の真ん中辺りは雨漏りは発生しません(屋根材に穴が開いている場合は除く)。

屋根に明り取りの天窓(トップライト)が有る場合はその周囲も漏りが発生しやすい場所です。やはり屋根に穴を開けるというのはリスク(不安材料)という観点で考えるととても大きなものです。最近のトップライトは既製品を取付けることが多く、商品自体の問題ではなく取付方法に問題がある場合がほとんどです。  漏れる位置が2階の屋根にもかかわらず2階の部屋を飛び越えて1階の部屋の壁際に出ることが有ります。この場合考えられるのは屋根でも壁に近い場所からの漏水が壁の中を通り、たまたま何かの理由(1階にだけ窓や出入り口など開口部がある など)で1階部分に出ますが 場合によっては部屋内に出なかった為 気付くのが遅れ、最悪 建物の土台を腐らせてしまうことも有ります。

 

漏れる条件

毎回ではないがある条件下で漏れる場合があります。雨量はもちろん風向きなどにより漏れが出たり出なかったりする場合です。特に2階建てなどの物件の1階部分が漏水する場合、風向きなどで漏りが左右されるケースは下の屋根の屋根材と壁との接点周りの不具合が考えられます。大きな台風等強烈な風雨の状況下で初めて漏れたという場合は壁に付いている換気用の開口部や屋根の普段では濡れない様な奥まったところなど、通常では想定外の場所からの漏水が考えられます。

 

対処法について

雨漏りが発生し、業者に調査、修理を依頼される場合、その方がどのような対処法を提案されるのか、これは重要なチェックポイントです。まず漏れる原因をきちんと把握できているのか、それに基づいての対処法をいくつか持ち合わせているのか、それを一般の方に専門用語を使わず説明できるのか、などは業者選定の目安です。水は高い所から低い所へ向かって流れますし、常に何かに引っ付いて留まろうとする基本特性が有ります。ですので水の流れる方向を変えることで対処できる場合も有ります。「多分この辺が怪しいので上からコーキングを塗ったら大丈夫だと思う」は一番避けたい対処法です。もちろんその対処法が結果として正しい場合も有りますが多くの場合、コーキングのみの対処法を提案される場合は要注意と言えます。

またどうしても雨漏りの原因箇所が発見できない場合も有ります。可能であれば漏れ出ている部分、天井ならその部分を開口して中を確認することが最も効果的です。雨の流れた痕の雨染みなど漏れている状況が直接見えます。 しかし後の開口復旧を頭に置いておく必要があります。特に天井がクロスと呼ばれる壁紙仕上げの場合、多くの場合同じ柄のクロスは入手できませんので下手をすると天井全面クロスの張替え、という事も考えられます。雨染みの付いたクロスを張り替える予定が有るのであればこの開口確認が一番効果的です。よく漏りが発生しやすい所では開口後の補修時に天井に45センチ角程度でワンタッチで開閉できる「点検口」と呼ばれる部材をつけておけば後々点検確認する場合に便利です。

 

特殊な事例

私が今までに経験した雨漏り調査で特殊なケースがいくつか有ります。そのうちの一つが瓦葺屋根の建物の平屋部分で雨漏りが発生していました。天井に雨染みが出来ていましたので屋根に上ってみると その近くにいかにも漏りそうな部分が有りました。てっきりここだと思い散水してみても漏れません。そういう試験調査を数回しましたがどうしても漏りが出てきません。でも雨の時には天井に染みが出ます。仕方なく工務店様立ち合いの上 天井を開けて中を覗いてみると、何やら異臭が。なんとそこはイタチの便所になっていました。つまり雨漏りではなくイタチのおしっこだったという訳です。  余談ですがその後全身に発疹が出まして医者に行くと「あなた獣の糞を触らなかったか?」と聞かれました。先程の糞の処理をしたことを伝えるとアレルギー症状が出たとの事。皆さんも気を付けて下さい。

 

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